ヴィタール
試写。塚本晋也監督。
不思議な感触の映画。まだ頭の中が整理できていないが、医学生の記憶消失に解剖実習が非常に効果的にからみあい、記憶というものの存在が、肉体(現実)とは切り離された別個のものとして意味づけられている。映像は美しい——雨が降りしきり、頽廃的な場面が多いが、人体解剖のシーンはグロテスクではなく、アクは適度に押さえられている——というか、今回は閉塞と開放の両方の美しさがみごとに共鳴している。主演の浅野忠信はもちろんヨシとして、映画初出演のふたりのヒロイン(牧阿佐美バレエ団の柄本奈美と建築科出身のモデルKIKI)もいい(好みだなぁ)。とにかく不思議な「非」現実感であり、それを狂気で彩らずに冷徹に描いたところが、ふわりとした奇妙なトリップ感を誘う。公開は12月。
なお、大島早紀子(H・アール・カオス)が振付で協力しています。
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