森美術館——小沢剛展「同時に答えろYESとNO!」
「地蔵」のシリーズがまだ続いていると知って驚いた。
日本、いや世界各地に出向いて、掌サイズの地蔵、もしくは地蔵の絵
(といってもどちらかといえば、こけしに見える……)を
ちょこんと置いて(壁に貼って、道路に描いて、などして)
記念写真をカシャリ、というこのシリーズは、天安門や板門店などにも
でかけながら、そこにちょこんと置いてささっと撮って逃げてくるみたいな、
そんな小心者的なスナップ写真でとても面白い。
声をあらぶらせない、ささやかな自己主張と抗議と皮肉。
「ねぇ、けんかはやめようよ……」というぽつりとしたつぶやきが
のちのアートサッカーやベジタブルウェポンの作品にも通じる。
あと、小沢剛と言えば、木製の牛乳箱の中の空間を使って
いろんなアーティストに作品を作ってもらった「なすび画廊」が有名だが
いちばんウケたのが同じ40年会の会田誠の作品だった。その名も「さりん」。
牛乳箱を覗くと「さりん」と書かれた牛乳瓶が入っているのだ(実際の作品は絵だが)。
これは恐ろしい(笑)。牛乳箱という、日常的で凡庸な装置と
「さりん」という脳味噌とろけそうな平仮名と、サリンそのものの
おそろしさが非常に強烈な化学反応を起こしているような……
まぁ、そんな感じ。
でもそれは、会田や小沢の脱力的破壊力ともいうべきものを象徴しているよね。
その行間に「昭和」がにじみ出してくるのはなぜか、ということは
ちまたの「昭和」ブームの根強さとともに検証されるべきなのでしょう。
つーわけで、とても楽しめた展覧会でありました。
(それにしても、アートサッカーに登場した児嶋サコ、
なんでわざわざハムスターの格好になるかなぁ(笑))
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