庭劇団ペニノ「黒いOL」
OL、つまりオフィスレディの話である。だからその場所もオフィスのはずである。だが、ステージは土。かなり奥行きがあり、中央の溝には水がたまっている。頽廃的な雰囲気。無益な労働。監禁場所のような閉塞感。蝋燭の火、水の音、煙草の煙、黒い制服らしきものを着たOLたちは水の上を歩き泥にまみれ、喋り、洗う。
このシュールな風景、閉ざされた世界の悪夢のような感触は、遠い昔に出会ったような気がする。が、それが何なのかは思い出せない。意味のないことを労働として繰り返す不条理な世界……封印していた感情を掘り返された気分だ。
もちろん物語らしきものはなく、種明かしもなく、舞台は終わる。イメージは放り出されたまま。それをどう繕うかは観る側に委ねられる。
会場となったのは、新宿高層ビル街に隣接する空き地のテント。土や水や火をこれだけ利用できたのも、テントならではだろう。そしてなによりも、終演後、観客達はステージを通ってテントから外に出るという演出。客席からは暗くて、しかも奥行きが深いためによくわからなかった舞台装置をインスタレーションとして観賞しながら歩く。テントから出ると、急で段差のある、壊れそうな階段。外の空き地にも舞台を作った残骸のようなものが散乱する……ふつう、観客を帰す道なら、ケガをしないよう整備するものだろう。もちろん、階段は急なのでという案内はあったが、あえて観客に安全をサービスしないことで、舞台の頽廃世界を身体で体験させられているような気がした。もしそこまで計算されているなら、すごい。
ある意味かなり衝撃的な舞台だった。次も観てみたい。
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