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2005.01.24

スゥ・ドーホー@エルメス

布、というよりは、蚊帳のようなもの、と言った方がイメージが伝わりやすいかもしれない。
スゥ・ドーホーは、その布によって空間を上下に区切り、それを基準に上下対照形の門を、同じ布で作り上げた。
下の空間においては門は逆さで、見上げれば、空間を区切る布の向こうに、正しく建った門が透かし見える。
上から見下ろすこともできる。それはまるで深海を覗いているような感じだ。
単純だが、不思議な幻想的インパクト。
なによりも、この貧乏っちい人間一人のためにドアマンはドアをあけてくれるわ、展示階それぞれに見張りの女の子はいるわ、階を移動するのにギャラリーに入るのとは別のエレベータに乗るのだが、その1階の移動のためのエレベータにちゃんとエレベータガールがいるわ、で、超ぜいたくな空間がスゥ・ドーホーの作品をよりスケールアップさせていた(?)のだった。
銀座・メゾンエルメス8階フォーラムにて。4月3日まで。

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2005.01.20

松山賢個展 at studio J

No.22「特集・異装」にも掲載させていただいた松山賢個展「花と和平(名前)」がstudio Jで始まりました(2/12まで)。
大阪なので行けないのが残念……。
ここ数年、関西方面の展覧会で面白そうなのが結構あって、でも、でも、どれも行けなくて(万博公園にあったころの国立国際美術館のヤノベケンジ展くらいですね、行けたのは)とても悲しい思いをしています。
いや、関西だけでなく、熊本とか丸亀とか青森とか金沢とか、そこでしか見ることのできない現代美術の意欲的な展覧会が結構ありますよね。
金と時間が欲しいです……なんて言ってちゃいけないんだけどね。

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2005.01.17

ジュンク堂大阪本店で異装フェア

ジュンク堂大阪本店・幻想文学コーナーで、1月下旬より「異装とは?」というフェアが催されるとのこと!!
もちろん、「特集・異装」も並びます。
幻文コーナーとは……いったいどんな本が集められるんでしょう……。

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2005.01.16

HAVE WE MET?—見知らぬ君へ

国際交流基金フォーラム
「アンダー・コンストラクション」「アウト・ザ・ウィンドウ」に続くアジア若手キュレータの共同企画による展覧会。
さすがに「アンダー・コンストラクション」を超えるインパクトはない。
が、見知らぬ作家の面白い作品に出会えるこの機会は非常に貴重。
今回もいろいろ楽しませてもらった。

入口すぐにあるポーンタウィーサック・リムサクン(タイ)の「The Dinosaurs」は、小さなやかんに馬の足とシッポを付けたもの。
シッポのスイッチを入れると、ガーガーうなりながら足を振って前へ進む。
シギット・ピウス(インドネシア)のインスタレーションは、腰を振りながら歌う着せ替え人形を写したカラオケのビデオが楽しい。
何より歌がよかったな(笑)。
インドネシアの歌謡曲でも買ってみようか、と思ったり。
小林洋子の作品は、アクリルの四角い柱の中を、その柱とほぼ同じ大きさの紙がゆっくりと落ちてくる、というもの。
その様子は日本的な静かな詩情にあふれていると言えるかもしれないが、柱の上で紙を吐き出すためにプリンタが機械音を響かせているのがユニークだ。
木から落ちる葉だけに美があるのではなく、機械が吐き出す紙にも美があるはずだ、ということか。

もっとも面白かったのはウィット・ピムカンチャナポン(タイ)の鐘の作品。
天井から鐘が吊され、鐘の中から着せ替え人形の足が出ている。
その回りに風景を写し出しているモニタがいくつも置いてあるのだが、
実は、そのモニタに写っている風景は、鐘の内側に描かれた絵(もしくは写真?)であり、人形に付けられたカメラがとらえた画像にほかならないのだ。
鐘を鳴らそうと人形の足を振ると、カメラも揺れてモニタの画像も揺れる。
風景がリアルなものであるがゆえに、、われわれが今感じているリアルとはなんなのか、ちょっと考えさせられもする作品なのである。

1/30まで。

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2005.01.03

スーザン・ソンタグ

あけましておめでとうございます。
2日空けただけなのに、会社のビルもマウスも机も冷え切っていて手をこすりながら打ってます。

昨年末、28日に、スーザン・ソンタグが他界したというニュースは、やはりここに記しておかなければならないだろう。
同時代のカルチャームーヴメントから自らのガンの体験まで、明瞭で明快で刺激的な思索の数々は、ある意味、私の指標のひとつだった(本当に理解できてるのかどうかということは別にしても)。
彼女の文章は、多くの作品、アーティストに出会う道標にもなったと思う。
私の本棚には〈これから読む本〉が集まった領域があるのだが、その中に『他者の苦痛へのまなざし』がささっている。
そう、そのまなざしの向け方が、彼女の著作から一番学んだことかもしれない。

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