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2005.04.29

ゴッホvs椿会

別に比較しようと言うわけでは。
たまたま書こうとしたネタがこのふたつだったので。

ゴッホ展@東京国立近代美術館
平日昼間でも人人人でその人気ぶりはさすがにスゴイが、ゴッホはなぜかあんまりありがたみを感じないんだよね。
確かに、絵の真っ正面に陣取ったとたんに絵筆の線が急に活き活きと色めき立って驚かされるのだが、それでもズッシーンとくるものを感じたことはない。
期待しすぎなのかしらね。
画集などを見ながら、ゴッホの現物を見たらとんでもない衝撃があるんじゃないかという幻想を、いつのまにか作り上げてしまっているところはあると思う。

その点……と言って比較するわけではないが「椿会展2005」@資生堂ギャラリーの方が刺激的だったかも。
鉄なのに柔らか、鉄なのに軽々しい、不思議な空間を生み出す青木野枝。
今回の作品は、地面に置かれた塊だが、発泡スチロールが置いてあるのかと思いました。
山本直彰の、白の中に何かが透けて見えそうな物語性。
辰野登恵子、不思議なんですよね、特別な形象があるペインティングではないのに、一目見ればこの人の作品だとわかる。力強さと不安定さと何かが混濁したあいまいさ。そこから立ち上がる形。
出品作家はその他全9人。
椿会おなじみの面々だが、新しい驚きがあった。

ゴッホは5/22、椿会は5/29まで。

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2005.04.25

リィウ・イエ@小山登美夫ギャラリー・プロジェクトルーム他

もう大丈夫だろうと土曜に画廊などを巡ったら、日曜、また熱がぶり返した。
一日ダウン。いかんなぁ。年なんじゃろか。

最近見た展覧会などから。
■リィウ・イエ@小山登美夫ギャラリー・プロジェクトルーム
素朴な雰囲気の人物像。
きっちり正面を向き、妙に頭でっかちだったり。額が広かったり。
人物の回りに大きくあいた空間の静けさが、人物の内面にかすかに燃える情念のようなものを浮かび上がらせているというか。5/28まで。

■トム・サックス@小山登美夫ギャラリー
マクドナルドなどのイコンを借用するのは、もはや特に珍しくないこと。
アメリカ的資本主義の威光の象徴だとみなされる時代もそろそろ終わりかなと思うのだが(ちなにみコカコーラは、もう終わっていると思う)、ん〜〜どうなんじゃろ。5/28まで。

■ディーン・サメシマ@Taka Ishii Gallery
60年代ゲイカルチャー誌からイメージを借用したものらしいが……時代を共有していないと、どう反応してよいものか……。(というか、この人の他の作品を知らないので、意図が不明というか)

《気》派展@ギャラリー手
個々の作品はともかく、これらが「《気》派」としてまとまる意味はどこにあるのか、よくわからん、というのが正直なところ。
なにが《気》と関係あるのか。なにをどう問題提起したいのか……。
ふむむむ〜〜……熱のせいで思考回路が働かないせいか?

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2005.04.17

白い果実

白い果実

山尾悠子が訳文を整えたというジェフリー・フォードの長編幻想小説。
錬金術的な世界律が支配するアナザーワールド。そこでは観相学という、人の外見で性格などを見分ける学問が確立され、事件の犯人を割り出すのにもその観相学が用いられる。
そのスペシャリストである観相官が、ある事件を解決する話だが、筋はどんどん逸れ、学問という理知的な領域がマジカルな力に浸食されていく。
条理があるとは思えない観相学で人を裁いていく様子は、男根的な横暴さを感じさせ、その学問の忘却はまさに去勢を彷彿とさせるが、それはひとつの見方に過ぎないだろう。
迷宮の底に滑り落ちていくような目眩を伴う佳品である。

「白い果実」ジェフリー・フォード(国書刊行会)税込2625円[amazon] [BK1]

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2005.04.15

個展情報

■4/21〜27・池袋東武6F美術画廊「コレクション・オブ・アート・アンド・イラストレーション」
 「昭和〜」で取り上げた人では、上田風子氏、山本タカト氏が出品。秋山祐徳太子、宇野亜喜良、金子國義、山本じんなどの名前もあります。

■4/11〜28・銀座のギャラリー手にて「《気》派展」開催中。メンバーには「特集・異装」で取り上げた松山賢氏も。23日には東京都現代美術館でシンポジウムもあり。

■5/16〜27に銀座のスパンアートギャラリーでおこなわれる木村了子展も新しき和風絵師として面白そうです。

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2005.04.14

Tシャツby河野悦子

いつも面白いイラストエッセイを描いていただいる河野悦子氏のTシャツを発見。
ここです。

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2005.04.13

超芸術—前衛美術家たちの足跡1963-1969/平田 実

ハイレッド・センター(赤瀬川原平、中西夏之、高松次郎)や篠原有司男、小野洋子など、60年代の前衛者たちのハプニングを記録した写真集。
最初は文章主体の本かと思った。
だけど文字で抽象的なイメージを伝えられるよりも、写真は多くを物語る。
一目瞭然。
特に当時を伝説でしか知らない私にとっては、ありがたい。

写真に撮ることで、まず間違いなくその場の熱気・温度・皮膚感覚は剥がれ落ちてしまうのだが(ゆえに写真は現実とは別個の表現になりうるのだが)、ここに掲載された写真の数々も、当時の時代の温度を剥がされてしまった状態で見ると、滑稽というか、まぁよくもこんなおばかなことをやりましたね、という感じは否めない。
そこが逆に面白いのは確かだが。
でも、そんな醒めた写真の傍らに添えられたキャプションがところどころ面白い、というか「体温」が感じられて、写真の冷たさを溶かしている。
いいバランス。
あと、本の最後に現在の赤瀬川、篠原、小野などの写真も掲載されていて、強者どもも夢の後、といった感慨があったり……。
ん〜〜でもそれは、彼らも年老いた、ということではなく、時代が変容したということだろう。たぶん。
そうした熱狂は中国にある、とデモのニュース見ながら思ってしまうのだけれど。

「超芸術—前衛美術家たちの足跡1963-1969」平田 実(三五館)税込1575円[amazon] [BK1]

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2005.04.08

トースティ@Bimy

「特集・異装」でも取り上げたトースティ(トーストガール)のインタビューが、タブロイド版の新聞「美味しい酒マガジンBimy」4月号に掲載されています。
インタビュアーはトーキングヘッズ叢書の常連寄稿者・本橋牛乳氏。
この新聞では、毎号見開きで本橋氏がインタビューをおこなっています。森奈津子とか。
(見本でもらった号のインタビュイーがみんな女性なのはそういう方針?)
興味ある人は見本誌を請求してみては。

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2005.04.03

輝ける青春(試写)

「旅芸人の記録」の約1.5倍、「ファニーとアレクサンデル」より50分も長い6時間6分のイタリア映画。
ただ、物語はメリハリあってテンポもよく、飽きさせない。
花粉症対策に鼻炎のクスリ飲んでいったが、眠らなかったもんね。
説明過剰にならず、話はトントントンと進んでいって、でも観る者を置いてけぼりにしない。
そのあたり、シナリオや編集が巧み。
60年代から2000年代までのある一家の出来事を追い、テロとかを扱いながらも政治色は濃くない。
ふつうのメロドラマとして観られる感動作だが、
逆に言えばメッセージ性や妖しさには乏しく、そこがカルト好きには弱点か。
イタリア好きはもちろん存分に楽しめるだろう。
7月9日より岩波ホールにてロードショー公開。

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