森山大道@epSITE
去年だったか、川崎市市民ミュージアムでの森山大道展を見たとき、
初期作品の、ザラっとした、頬を紙ヤスリで撫でられたような感触が、近作になると
つるんと上品にエステされてしまった感じがあって、やはり初期のものの方がいいかなぁ……という印象を受けた。
もちろんそれは森山の問題というよりは、都市のダイナミズムの問題だろう。被写体があってこその写真だ。
その森山が、ブエノスアイレスを撮る、というのは、そういった意味で必然だったかもしれない。
冨と貧困、過去と未来、朽ちゆくものと生まれ出るもの、光と影が混然と存在する都市、ブエノスアイレスだからこそ、森山の被写体を射る鋭い視線がより強烈にきらめく。
再び甦る暴力的なまでのエネルギー。
白黒のコントラストの強い作品に混ざって、露出過多で輪郭がほとんどあいまいになった、ピンクのワンピの少女の写真が、これまた天使のように映えて印象的だった。
7/31まで。タカ・イシイギャラリーでも8/6まで開催。
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