レオノール・フィニ@bunkamura
「少年×タナトス」の追い込みをしながら、早く行きたーい、でもいま行ったら絶対落ち着いて見ることができなーい(精神的に追い込まれているので)、と思って自粛していたフィニ。ようやく行ってきた。
フィニは本当にころころと作風を変えている。
よく知られているのが、チラシのオモテにも使われているいかにもシュール調な絵だと思うが、一番惹かれたのは「鉱物の時代」に分類された、甲殻的で頽廃的で廃墟的な身体像。あまりこういう絵はオモテに出てこない(チラシにもない)。
確かにこれはエルンストの「雨後のヨーロッパ」あたりの作品を彷彿とさせるのだけれど、その頽廃の闇にうっすらと透けて見える、艶めかしい女性の顔立ちなどが非常に印象的。すばらしい。
それに較べると、後期は人物が記号化されていってしまっている感じで、ちょっと物足りない感じが。
シュルレアリスム的発想はいまだ新鮮さを失っていないというか、まぁなかでもブルトンとかではなく、レメディオス・バロとかレオノーラ・カリントンとか、このフィニとか、そうした女性画家の作品にとても惹かれる。
その意味でシュルレアリスムは偉大なのだ。
フィニの「少年性」と鉱物の時代に見られる「タナトス性」を再確認して、ああ、やはり追い込み中に足を運んでおくべきだったな、とちょっと後悔。
でもものを書く体力はなかったかなぁ……。
Bunkamuraは7/31まで。そのあと梅田・群馬・名古屋を巡回。必見です。
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