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2005.09.16

ASADA ; 大巻伸嗣

大巻伸嗣は資生堂ギャラリー
雑誌に載っていた展覧会の写真を見て、なんだ床に花の模様が描いてあるだけジャン、とか思っていただのが、それは全然本質的なことじゃありませんでしたね。
まず驚かされたのは、このギャラリーは地下にあって、階段を下りる途中でギャラリーの様子が上から見下ろせる構造になっているのだが、大巻はその視線を薄く白い布で遮った。
天国などの別世界に降り立つかのような感覚を覚えさせる。
だが、下に降りて目にするのは、無惨にも人に踏みつぶされてただの色の塊になっている花の絵だ。
床一面に綺麗に描かれていたはずの花が、跡形もなくなっている。
(元の様子は、奥のアクリル板に覆われた部分でうかがうことができる)
それは人為の残酷さだが、しかしこの作品はそれだけにとどまらない。
人が踏みつぶした部分のところどころに、また新たに花の絵が描かれているのだ。
そこには逆に、人為のやさしさを感じ取ってしまうのである。
25日まで。

gg_0509P1ASADAはGuardian Garden
23回ひとつぼ展グランプリである。
奇妙な突起などで覆われている陶器の作品など、ヘルメットがトレードマークの作家だが、ドローイングも面白い。
彼女はそのヘルメットによって何かと戦っているのだろうが、でも戦闘の様子を描いた絵を見ると、頭はヘルメットだが、身体は裸で黒パンツ一丁である。
武器もなんも持っちゃいない。
それで戦えるのか?

——おそらく、その戦闘は自作自演だ。
何もない現実に自ら勝手に敵を作り、ドン・キホーテよろしく架空のドタバタに酔いしれているのだ。
そうすることで何かを打ち破ろうとしているのだろう……。

だが考えてみれば、ヘルメットは武器じゃない。防具だ。
なんで防具だけで戦おうとするのか?
……と思ったときに、彼女はもしかしたら、殉死することを望んでいるのかもしれない、と思った。
勇敢な殉死。死によって得られるヒロイズム。
まぁ以上は勝手に想像して書いたことだが、考えてみれば、現実世界では殺すことよりも殺されることの方が難しいのかも。
だから防具でちょっとだけ武装することによって、相手の戦意を刺激しようとする魂胆か。
ちょっと前にやった《気》派展でヘルメットを見て「?」だったのだが、今回ドローイングなども数多く見て、なんとなく世界が見えてきたような気がした。
いや、誤読しているだけかもしれないけど。
22日まで。

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