杉本博司@森美術館
東京都現代美術館ではイサム・ノグチ、そして森では杉本博司と、まず欧米で評価された巨匠の回顧展が相次いでいる。日本的な感性、といってしまうと凡庸な言い方だが、でもエキゾチズムに走ったものではなく、その奥底にある静けさや空疎さの美学みたいなもので独自の世界を作り上げているところが、ふたりには共通しているように思う。
杉本は、劇場内部を映画の上映中シャッターをずっと開放したまま写した作品や、なにもない海の水平線を世界各地で撮影した作品などで知られているが、そうした個々の作品はもちろん、展示会場の雰囲気を味わうためにもぜひ訪れたい展覧会である。
感激ものなのが、海の水平線を写した作品群が並ぶ部屋だ。
仕掛けは伏せておくが、私はこれはかなりグッと来たぞ。
あの、何も映っていない作品が並んでいるだけなのに!!
(どこの海で写した、という写真のタイトルがほとんど見えないのもいい。そんなことにおよそ意味はないのだ)
ジオラマや蝋人形観の写真など、他人の創造物を撮っただけじゃん、と思ってしまいがちな作品も多いが、
そのウラには確固たる技術と概念があることが、会場を巡っているとはっきりしてくる。
時空間を超越した、人間の目では決して捉えられない“リアル”を印画紙という二次元に定着し提示すること——それに対するなみなみならぬこだわりが、どこにもありそうでいて唯一無二の作品群を生み出し続けている。
来年1/9まで。六本木ヒルズ・森美術館にて。
ああ、イサムにも会いに行かにゃ〜。
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