小林嵯峨/原色の七十年代典 舞姫嵯峨+35
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ジャ・ジャンクー監督のは実はまだ見たことがなく、
ビデオで「青の稲妻」とか見てから……と思っていたのだが、なかなか時間がなく、
水曜1000円均一しかも祝日という誘惑に負けて、とりあえず「世界」を見た。
世界各地の著名な建築物のミニチュアを集めたテーマパークが舞台、ということで
久々に見たい映画が出てきた、と思っていたのだが、別にテーマパークが好きなわけじゃない。
だいたいディズニーランド行ったことないし。
ミニチュアのピラミッドとか見て何が楽しいのだろう、というのが正直なところなのだが
そうしたイビツな世界で働く少年少女たちの群像ということで興味を持ったわけだ。
メインで使われているスチルは派手な踊り子の衣装を付けた少女の姿だが、
その少女がそうした格好で派手に舞い踊るのは冒頭の部分くらいで、
テーマパークの華やかな部分は、後半になるとほとんど姿を消す。
どっかの工場での話にしてもおかしくはない。
派手な姿をしていた少女が、衣装を脱ぎ化粧を落とすと、本当に地味な華のない顔になるのも
テーマパークの華やかさにあえて背を向けるための演出なのだろう。
服装も実に地味目なのが選ばれている。
テーマパークという限られた舞台での人間関係オンリーで、しかもそこにいるだけで世界一周ができてしまう
というのは、「世界」に出ていきたかったのに「世界」というテーマパークに閉じ込められている、
という意味では皮肉がきいているが、だがそれでも、そんなに閉塞感があるわけではない。
みながそこから逃げだそうともがいているわけではない。
むしろ、そこから出ていくことを知らないこと、出ていく気にさせないことが
テーマパークという構造の特殊性なのかもしれないし、
ミニチュアのピラミッドを前にして、
本当のピラミッドと対峙したような気分になってしまえる現実との距離感が
監督には、若者を描く上でいい塩梅だったのだろう。携帯メールの描写も含めて。
ジャ・ジャンクーはそれを肯定も否定もせずに静謐に描き出す。
冒頭の派手なシーンが続けばもっと楽しい映画になったろうに、とは思うけど、
そこに背を向けたところが私はよいと思うよ。
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青山真治監督。来春公開予定。カンヌ出品作。
人を自殺に追いやるという正体不明のウィルス。
それを音楽で解毒できる(?)という突拍子もない設定だが、
う〜〜ん、困った映画である。
音楽といってもノイジーなエレキで、いろんな音をサンプリングしてホースをグルグル回しちゃったりするんだけど
う〜〜ん、どうなんだろう、ウィリアム・バロウズばりの幻惑世界をちょいと期待もしていたんだが
設定が突拍子もないわりには、画面とかはふつうな感じ。
ウィルスに対する危機感もあまり伝わってこないし。
そもそも、ウィルス、音楽という、目に見えないもの——つまり映画に描きづらいものをあえて中心に据えているわけで、そこらへんムリもあるのかぁ、という印象……。
だが、だけど、それで終わってしまわないところが、この映画の本当の見どころだろうか。
病気が治りました、しゃんしゃん、で終わると思いきや、それまでの凡庸さ(?)が別の所へすぅっと突き抜けていくような、観客をそういうところに置いてけぼりにして終わりますか、という感じで、結構いい意味で呆然とした。
さすが一味は違う。
浅野忠信主演、宮崎あおい(目隠しされた姿がよいですねぇ)、中原昌也、筒井康隆他。
[公式サイト]
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告知です。妖しいです。みなさまぜひおいで下さい!!!
200512/2(金)→11(日)
open 13:00 close 20:00※イベント時には変更あり
入場料 500 yen
at タナトス6
——————————————————
そこに見いだすのは、
苦痛か、安息か。
「人を閉じ込める部屋」をテーマに作品を作り出してきた 10792512(コウソク)。
今度は、タナトス6であらたなインスタレーションを繰り広げる。
孔雀と牡丹の磨りガラスに淡くきらめくシャンデリア、そしてそれに続く和室が妖美な空間に生まれ変わる。
静かに息をひそめる囚われの少女。
あなたはそこに、いったい何を見いだすのか——。
——————————————————
パフォーマンス、上映会などイベントも多数!!
詳しくは[こちら!]
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なんとも寒々しい写真展である。
いや、客が入っていないとかいうことではなく(それなりに入っていた)
写真の表現自体がだ。
もともと写真というのは冷たい。物事を冷徹に記録する。
だけどここに並んだ写真はどれも冷たいどころか氷点下マイナス何百度といた感じで
全身こごえることまちがいなし。
被写体への突き放した視線。
熱狂も興奮も批判もしない、ただただ醒めた眼差し。
だが、それがつまらない写真じゃないから困るのだ。
現実に対する信頼だとか、生きるための拠り所というか、リアリティというか、
そういうのがガラガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
それは、常設展のエリアで行われていたザンダー展も同じ。
おそろし過ぎるぞドイツ写真。
ちなみに、「廃墟憂愁」掲載の作場知生インタビューのなかで、「蒸気機関車とかにデザイナーなんていない、設計者=デザイナー。極論すれば、デザイナーなんていなくていい」という発言があったのだが、
そうかベッヒャーもそうした視線だったのかと、今回の展覧会を見てあらためて認識した。
まぁ、ベッヒャーの写真が廃墟に見えてしまうのは、特集から頭が抜け出せていないからだろうが
ああ〜ん、そういえばどの写真も廃墟的だといえば言えそうな——熱い廃墟ではなく醒めた廃墟だけれども。
ちなみに虚青裕氏が「廃墟憂愁」の特選街で驚嘆していたロレッタ・ルックスも出品されてます。
なお、京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは、「ポーランドの映画ポスター」展がやっていて
これも「廃墟憂愁」にも書いたが、
「日本沈没」のポスター必見です。安いし。
(なお「ポーランド映画“の”ポスター」展ではありません。「ポーランド“の”映画ポスター」展です。ついでに言えば、「廃墟憂愁」では「ポーランド“の”映画“の”ポスター」展と誤植してしまいました。ううっすみません、つ×××さま)
ドイツ写真は12/18まで。ポーランドは12/25まで。
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目次
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■反転逆流の場としての“廃墟”●志賀信夫
劇団第七病棟・石橋蓮司に聞く
■子供のころの街の記憶と“ガラージュ”
作場知生インタビュー
■自然とテクノロジーの融合、それが廃墟の醍醐味である
映画作家・中嶋莞爾インタビュー
——カラー———————
■EXTREME DIVINE●写真=堀江ケニー
——カラー口絵—————
■作場知生・箱庭宇宙
■殺伐とした大地に奔放な少女〜上田風子展
■ベクシンスキー×野波浩
写真と絵画の狭間の廃墟嗜好
■神出鬼没! 妖しく滑稽な妖怪たち!!〜アスベスト館
ダイトウノウケン写真展「春骨 Blood & Bone」
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■約束の薔薇園●槻城ゆう子
■妄想使い・めろん子ちゃん〜SF映画にみる廃墟篇●あや野
■廃墟のスケール感●沙月樹京
永遠への出発点〜ピラネージ・廃墟画から中嶋莞爾・堀江ケニーまで
■過去と未来の十字路●虚青裕
J・G・バラード「待ち受ける場所」と光瀬龍「たそがれに還る」
■廃墟を夢想するBOOK&MOVIEレビュー
ホレス・ウォルポール「おとらんと城綺譚」●志賀信夫
サイモン・マースデン「幽霊城」●福本直美
ホルヘ・ルイス・ボルヘス「円環の廃墟」●河野悦子
ピエール・ギュヨタ「エデン・エデン・エデン」●古川沙織
スタンリー・キューブリック「フルメタル・ジャケット」●虚青裕
アンドレイ・タルコフスキー「ストーカー」●文山未絵
中野正貴「TOKYO NOBODY」●沙月樹京
丸田祥三「棄景 origin」●沖沢あきら
ほか
■ルーインズ・メランコリックで廃墟をお散歩しよう!●井手亞紀子
今道子・シュヴァンクマイエル・塚本晋也・飴屋法水ほか
■廃墟で夕食を●本橋牛乳
辺見庸によるとこの世界は
■“テーマパーク「ゾンビワールド」への遠足”のしおり●河野悦子
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■茫漠とした荒野への旅立ち●沙月樹京
やなぎみわ「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」展
■フェティッシュな麻布十番●志賀信夫
サディスティックサーカス2005
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■フリーマーケット
「恋よりどきどき・コンテンポラリーダンスの感覚」展
追悼・明智伝鬼/スター・ウォーズ新三部作
よりぬき[中国語圏]映画日記/NPO出版社・葉っぱの坑夫
サシャ・ヴァルツ/パリ・オペラ座の図書館
「ポーランドの映画ポスター」展ほか
■タナトス6通信〜公演写真レポ
■表紙イラスト●本多祥子
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