ドイツ写真の現在@東京国立近代美術館
なんとも寒々しい写真展である。
いや、客が入っていないとかいうことではなく(それなりに入っていた)
写真の表現自体がだ。
もともと写真というのは冷たい。物事を冷徹に記録する。
だけどここに並んだ写真はどれも冷たいどころか氷点下マイナス何百度といた感じで
全身こごえることまちがいなし。
被写体への突き放した視線。
熱狂も興奮も批判もしない、ただただ醒めた眼差し。
だが、それがつまらない写真じゃないから困るのだ。
現実に対する信頼だとか、生きるための拠り所というか、リアリティというか、
そういうのがガラガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
それは、常設展のエリアで行われていたザンダー展も同じ。
おそろし過ぎるぞドイツ写真。
ちなみに、「廃墟憂愁」掲載の作場知生インタビューのなかで、「蒸気機関車とかにデザイナーなんていない、設計者=デザイナー。極論すれば、デザイナーなんていなくていい」という発言があったのだが、
そうかベッヒャーもそうした視線だったのかと、今回の展覧会を見てあらためて認識した。
まぁ、ベッヒャーの写真が廃墟に見えてしまうのは、特集から頭が抜け出せていないからだろうが
ああ〜ん、そういえばどの写真も廃墟的だといえば言えそうな——熱い廃墟ではなく醒めた廃墟だけれども。
ちなみに虚青裕氏が「廃墟憂愁」の特選街で驚嘆していたロレッタ・ルックスも出品されてます。
なお、京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは、「ポーランドの映画ポスター」展がやっていて
これも「廃墟憂愁」にも書いたが、
「日本沈没」のポスター必見です。安いし。
(なお「ポーランド映画“の”ポスター」展ではありません。「ポーランド“の”映画ポスター」展です。ついでに言えば、「廃墟憂愁」では「ポーランド“の”映画“の”ポスター」展と誤植してしまいました。ううっすみません、つ×××さま)
ドイツ写真は12/18まで。ポーランドは12/25まで。
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コメント
作場知生さんのリンクつくっとくです。
http://www.t-s-k-b.com/
ガラージュはこっちね。
http://www.kinotrope.co.jp/garage/
投稿: ( め) | 2005.11.13 22:03