「沖の未明」
小川未明の童話「港に着いた黒んぼ」を元にした映画作品。
監督は鈴木志帆。主演は野和田恵里花、坂本弘道。
ストーリーらしきものはいちおうある。
ストリートパフォーマンスをしている姉と盲目の弟。
ふたりは互いの存在なくしては考えられなかったが、
ある日、金持ちからの誘いがあって、姉はその元へ出かけてしまう……。
しかし、ストーリーに感動する映画ではないことは確かだろう。
見どころはやはり、野和田恵里花のダンスと、坂本弘道のチェロ演奏にある。
その、熱情的な踊りと演奏。
そこには、みすぼらしさも貧乏のビの字も感じられず、
それは、ふたりのパフォーマンスをストーリー的な整合性の枠にはめず、
できるだけありのままに映し出すことを選択したためにちがいない。
観る者が体感するのは、非常にハッピーなコラボレーションだ。
ストーリー的には暗めのオチなのに、エンドロールの間も鳴り響くチェロの音に
踊り出したくなってしまうのは、コラボの幸福感に包み込まれるからだろう。
あえて言うなら、変に凝ってカット割りするよりも、据えたカメラで、
もっとじっくり野和田のダンスを見せる部分があってもよかったのではないかと、ちょっと思う。
だけど、うん、ハッピーになれるよ。
観ることのできる機会はなかなかないが、
タナトス6のコウソクEXHIBITIONでレイトショウ上映される。
展覧会の入場料500円のみでOKなので、ぜひお見逃しなく!
レンタルビデオの値段に較べても、500円はかなりおトクです!!
(もちろん、この映画をレンタルで観ることはできません)
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