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2006.03.30

“アートと話す”とか“チェ・ウラム”とか

さわやか革命さんの日記を読んで、やっぱり行かねばと思って、行ってきました東京オペラシティ・アートギャラリー。
実はちょっと久しぶりだったりしたのでした。
で、やっていたのは「アートと話す アートを話す」と題したクライスラー社のコレクション展だが、
まぁなんというか、大量生産品的・工業製品的な物が多いように感じたのは、コレクションの趣旨なんでしょうか。
手仕事の感覚を残していたのは、最後のシュレンマーのドローイングくらいではなかったろうか……。

で、階を上にあがってコレクション展の会場に入ると、
なんだか形はよくわからないかもしれないけど、手で描きました〜、魂が乗り移っているのが見えるでしょ〜、ってゆー感じの抽象絵画が並び、これがまた、それまで見てきたものとの対比もあるのかもしれないが、とてもいい感じ。
ここはいいコレクションを持っているよ。
教科書的ではない、ちょっと異端的でぐっとくるようなものにお目にかかれる。

でも一番目を引いたのは、最後の「project N24 小林 浩」だろう。
一見すると写真のように滑らかな濃淡で描かれているかのように見えるが
実は地図の等高線のように、微妙に濃さの違う数種類の色で塗られているだけだ。(しかも厚いんだ)
その等高線の奇妙な形が、宙を飛ぶぬいぐるみのような形をかもし出す。
絵の不思議さとともにその手法の面白さも惹かれた。

「project N」は若手発掘のプロジェクトだが
森美術館の同様のプロジェクト「MAMプロジェクト」では、
「東京−ベルリン/ベルリン−東京展」の会場のワンブロックを使って
韓国の若手作家チェ・ウラムの個展を開催している。
これがまた、いいんだ。

要は、金属やら電子部品やらで架空の生物を作ってしまおう、というやつなのだが、
これがまた、ガラクタの寄せ集めとは全然一線を画して、部品のひとつひとつをちゃんと作っているらしい!
しかも、それが、動いたり、光ったりする!
その動きも、「機械のように」ではなく、生物のように、さやさやっ、そよそよっ、ふわふわっと動くのだ!
これを称して「生きているようだ」というんだな。
さらに面白いのは、骨格などの甲殻的な感覚。アールデコを思わせるような曲線。
この機械に「肉」はない。甲殻だけだ。
そうなのだ、まるでエルンストの「雨後のヨーロッパ」の世界に入り込んでしまったかのようなのだ。
なんて頽廃的、だけど魅惑的な未来感覚。
表向き、これらの作品は、「発見された」ことになっていて、学術名とかも付いているのもおかしい。

東京オペラシティ・アートギャラリーの展示は3/26まででした。
森美術館のは5/7までやってます。

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2006.03.25

ヴァニラ ネタです。作場知生展(予告)とか富崎NORI氏インターネットTV出演とか…

ちょっとビール飲んで会社に戻って、新聞読んでネットサーフィンして富崎NORI氏の日記になぜか行き当たって、読んでみれば、インターネットTVに生出演されるとのこと。24日?今日じゃん。時間は……23:30……イマじゃん!!ということでなんとも偶然に見始めたのですが、そこへ富崎氏からのHELPメールが……(笑)偶然は恐ろしいものです。

はい。富崎氏がヴァニラ画廊でおこなった個展の様子は、トーキングヘッズ叢書新刊の「アヴァンギャルド1920」で特別レポートしていますので、ぜひご覧下さい!!

さて、何を隠そう、私はヴァニラ画廊が出している「ヴァニラ画報」のファンである。
THのライバル誌は「ヴァニラ画報」だ、とか思ったこともあったのだが、あちら様はフリーペーパーなのでその時点で負けなのである。
その「ヴァニラ画報」が判型も大きく生まれ変わった。
文字ぎっしりで展示作家の紹介やインタビューなどが掲載され、読み応えあるなぁ。
メインは、5/8(月)〜20(土)に個展を開催する作場知生氏へのインタビュー。
トーキングヘッズ叢書でもNo.25「廃墟憂愁」でロングインタビューをおこなったが、それとは違う視点でエロスやゲームなどについて語っている。
今度の個展では、「BOXオブジェ」が中心になるとのこと。
緻密な密閉空間、楽しみです。

ヴァニラ画廊では、駕籠真太郎を始め、良い子におすすめできない展示が続きますねー。詳しくはHPへ。
ちなみに今回の「画報」で最も心惹かれたのはあとがきで、閉館になる万世橋の交通博物館、行っとくべきかなぁと迷っていたところにこのお言葉。ああ、やっぱり行くかなぁ……。

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motアニュアル@東京都現代美術館

今年のmotアニュアルは、濃すぎです。
「日本画」の比較的若手アーティストが集められた展覧会だが
最初から松井冬子の暗ーい照明の中の暗ーい展示だったりして、
それに町田久美のシニカルで残酷な遊戯でしょ、
それに三瀬夏之介のエネルギー大爆発の巨大絵巻に魂吸い取られ、
天明屋尚にたどり着いた頃には、もう脱け殻です。
なんでどこにもへたることのできる椅子とかが置いてないんだろうなぁ。

「日本画」と言うのは、個人的なイメージだけど対象を客観的に整理して描いている……っていう印象があって、でもこの展示は、もう、個人の趣味趣向丸出しで、しかもストレートにズドンと観る者に体当たりしてくる。
なんでこうなっちゃうのだろうか……?
日本画でそれをするから面白い、というのもあるだろうけど、それじゃ進歩ないので、純粋に表現としてどうかというところを評価しなければならないのだが、ある意味日本画というのは、いま現在そういうものを表現するのに適した舞台なのかもしれない。

いやぁ、参りました。スゴイの見せていただきました、って感じ。

並行開催の「転換期の作法〜ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術」は、ビデオ作品が多くて、回るのに時間がかかる(おかげで常設展観れなかった)。
でも、そのビデオに面白いのがない気が……。
全体的には楽しめたけど。

いずれも26日までだ。東京都現代美術館

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2006.03.21

宇治山哲平@東京都庭園美術館

060319_17580001はっきり言って、チラシの絵柄はサギである。
これだと、ただ丸や四角を並べただけの、コンピュータでちょちょちょいと描けちゃうような絵に思えてしまうではないか。
でも、現物を見れば驚く。
その表面の質感——同じ平面でも、ざらついた部分と滑らかな部分があり、しかも色と色との境界は、縁取るように盛り上がっている。その盛り上がりとざらついた表面がかすかな影を付け、その質感が非常にいいのだ。
こんなのはチラシの写真では全然わからん。

抽象画と言うが、足跡を辿ってみれば、その抽象にも具体的なイメージが託されていることがわかる。
60年代の作品は、色合いも暗く、まだ丸や四角に形象が純化されていない。
それが70年代、80年代になるにつれ、色は原色の鮮やかさに、形も幾何学的なものに整理されていく。
その過程を追えば、幾何学的な絵に託されたイメージも捉えやすい。

でも、幾何学的に整理されていくんだが、ところどころに微妙な中間色のグラデーションが残されるところも、ひとつのポイントだろう。
それに丸や四角も、個々の形は単純だが、それらは決して整然と並んでいるわけではない。
左右対称のように見えて、実は違っていたりする。
幾何学的なのに、なぜか人間味がある。体温があるのだ。
そう、あの、表面の感触——水晶を練り混んでいるというその表現の感触も、体温をかもし出す重要な役割を担っているにちがいない。

宇治山はアッシリアなどの古代美術の魅力に取り憑かれたのだという。
宇治山の絵は、全体を把握するには、数歩離れて立たないといけないような大きさで、だが離れてしまうと表面の質感がぼやけて、味気ないものになってしまう。
だからちょっとは遠目に見たとしても、最終的には近くに寄って見てみたくなるのだが、近寄ると、視界のすべてが宇治山の作品で占められ、全体を把握するどころの話ではなくなるのだ。
だから、近寄って見ているうちに、なんだか、その絵の世界に迷い込んでしまったかのような感覚になってしまう。
アッシリアの茫漠とした大地——ただし原色の——に佇んでいるかのような、そんな感覚……。
そうかこのざらつきは砂であり、滑らかな部分はオアシスなのか……??んんん?

4/9まで。東京都庭園美術館にて。

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2006.03.18

VOCA 2006@上野の森美術館

あー久しぶりにちゃんと睡眠とりました。(スッキリ)

さて、例年この季節にTHの編集が終わると、VOCA展。
若手作家の登竜門的な展覧会。フレッシュな作品に出会えるので楽しみにしている。

VOCA賞は、TH No.22「特集・異装」でヴォルフガング・ティルマンスのレビューを書いたときに
一緒に触れた小西真奈。
1年以上前のことになるが、そのときは「惨劇の前兆を目撃しているような気分」と書いた。
どこにもありそうな風景なんだけど、次の瞬間、その風景がまったくひっくり返ってしまうような不安感、
そんなものを覚えたからだが、今回の作品はだいぶフツーに幸せそうに見えてしまったのは、どうしてだろう。
モチーフは同じ感じだけど、なにか変わったかな……?

蜷川実花はいまさらここで賞をとってどうするのだという、そんな気がするんですけど……。

他に印象に残ったのは、永原トモヒロの色彩のない廃墟然とした街角の風景。曇天。人もいない。記憶の底に沈んでいるかのような、そんな歪さを持った光景。
橋爪彩は少女の足元を写真的リアルさで。だけどそのリアルさには、そこに届かない膜があるかのようにも感じる。
青木克世の磁気の作品は、こてこてのいかにもアンティーク的なフレームの作りに、真っ平ら、無表情なタイル。その上に楕円に描かれた蒼い絵は、まさにそこが異界への入口のように見える。
小橋陽介のは、ヘンリー・ダーガーのようなアウトサイダーアートを彷彿とさせるような、自画像。風景の中に数多の彼自身が描かれ、原風景というか、彼だけのユートピアというか。
3/30まで[詳細]

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2006.03.17

井手亞紀子デザインのTシャツ

TH No.26でも描き込みすぎたイラストレーター・井手亞紀子さんのTシャツがアメリカで売ってます。
通販もできるみたい。
http://www.teenytee.com/generic209.html
やっぱり描き込みすぎのようです(笑。

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2006.03.16

TH No.26;50頁大幅ヴォリュームアップで発売!!

いやぁこの数週間はとても……さすが50ページ増だけあって、最後は完徹。
すべて終わったのがいまだ不思議でなりません。
(なんかきっとミスしているんですよね……ううう)

お待たせいたしました。おかげさまで
TH(トーキングヘッズ叢書) No.26「アヴァンギャルド1920」は
今月末くらいの発売となります。(224ページ、税別1429円)
(だいたい早ければ29日ぐらいから書店店頭に並び始めるかも)

20世紀初頭のアヴァンギャルドということで、未来派、ダダ、表現主義などがネタになりますが
そこはTH、マジメじゃありません。遊んでます。おイロケもちゃんとあります。マジメもありますが。

しかも!今回は特選レビューページ(special RECOMMENDATION)が充実&濃厚ですので、
お楽しみ下さい。
ちなみに巻頭のspecial RECOMMENDATIONのラインナップは、
富崎NORI、甲秀樹、こやまけんいち、平林幸壽、ロマンチカ、イリナ・イオネスコ×横町慶子、
堀江ケニー×浜崎みう、マシュー・バーニー、工藤丈輝、塚本晋也、三浦悦子
普通のレビューコーナーにも庭劇団ペニノがあったりして、これまでにない充実度です。

[目次や詳細はこちら]
[立ち読み画像はこちら](GIFアニメ)
[超便利!! アヴァンギャルド年代記の目次]
表紙はこちら↓↓
th26_shoei_rgb_big

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2006.03.15

トミオカユーコさんがグループ展

トーキングヘッズ叢書にイラストを描いていただいてますトミオカユーコさんが、
銀座の「月光荘画材店」奥のギャラリーでグループ展「三月茶会展」をおこないます。
“人形的、アンティーク、幻想なイメージのイラストやぬいぐるみを創る仲間”だとのこと。

詳しくは[こちら]
期間:2006年3月20日(月)〜26日(日)
会場は[こちら]の画室1

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2006.03.06

堀江ケニー×浜崎みう;イオネスコ×横町慶子

取り急ぎ告知だけですが簡単に!

「 Love Life Live 」〜堀江ケニーによる浜崎みう写真展
3/5(日)〜3/11(土)、ギャラリーコンシール渋谷
▼カルト・ストリップダンサー浜崎みうをモデルに堀江ケニーが撮った……ケニー流の幻想的で美しい写真。会場はオリです。
詳細:http://kennyhorie.cool.ne.jp/

イリナ・イオネスコ ロマンチカ写真展
3/6(月)〜4/4(火)、渋谷・美蕾樹
▼3年振りの公演がおこなわれてるロマンチカの横町慶子をイオネスコが撮った写真展(私はロマンチカの舞台は10年振りだったかも……)
こちら<map>あり。

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