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2006.05.28

アフリカ/肉屋の娘/女犬/想耽

■森美術館で始まった「アフリカ・リミックス:多様化するアフリカの現代美術」は、
 さすがこの美術館だけあって相変わらず盛りだくさん。
 アフリカといっても広いし、ヨーロッパ文化圏の地中海沿岸と中南部を
 一緒にしてしまうのもどうかと思わないでもなく
 その通りあらゆるものがゴッタ煮になっている印象は否めないが
 21世紀以降を中心としたアフリカ美術がこれほどまでの規模で観ることができるのは、もう圧巻。
 エキゾチックな要素をウリにする作品は少なく、表現も多様。
 歴史的な背景を知らないと理解難しいものもなくはないが、
 アンゼルム・キーファーのごとく、そんな背景知らなくても圧倒的迫力で迫ってくる作品もある。
 今度は作家を絞って、何人かの個展形式でやってもらいたいなぁ。

 ちなみに黒リボン等を使って、コウソクを連想させるパフォーマンスをするアーティストも。
 8/31(木)まで。詳細

■宇野亜喜良個展「肉屋の娘」
 豚とともに育った少女という寓話を描いた絵と人形。
 妖しくもかわいく美しくシニカルな世界。
 あの絵が立体になった人形がかわいい。
 5/31(水)まで、青山のビリケンギャラリーにて。

■室井亜砂二と女犬の作家展「女犬幻想」
 これですかんね。
 要は、犬として扱われた女の絵や人形を集めたものなんだが、こうして一望すると
 嗜虐性が刺激されると言うよりも、なんだかいとおしい気分になってきてしまうのはなんで?
 無様な恰好なんだけど、けなげににっこり媚び売ったりして。
 缶バッジくれたんだけど、これ付けて歩くのって……どうなんでしょ(笑。
 人形作家として清水真理と森馨も参加。
 6/3(月)まで。銀座・ヴァニラ画廊

■想耽〜オモイ・フケル〜
 これは明日からですね。佳嶋、輔老はずき、ミヤケ千夏の三人展。
 スパンアートギャラリーにて。6/3(土)まで。

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2006.05.15

「アヴァンギャルド1920」「廃墟憂愁」の中面サンプル公開中

ちょっとボケ気味ですが、中面のサンプルを作ってみました!(禁転載)

「アヴァンギャルド1920」詳細[サンプルはこちら]

「廃墟憂愁」詳細[サンプルはこちら]

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2006.05.10

NHKサンダンス

深夜NHKを見ていたら、番組間にやる自己宣伝コーナー「プレマップ」で
サンダンス・NHK国際映像作家賞の告知を長々とやっていて、
今年の受賞者として中嶋莞爾監督が登場してました。
受賞作の、あの緻密な絵コンテもパラパラと。

放映スケジュールは中嶋莞爾監督のHPにあります!

中嶋莞爾監督のインタビューが載っているTH No.25「廃墟憂愁」
http://atelierthird.jugem.jp/?cid=1
中嶋莞爾監督HP
http://www.din.or.jp/~kn-film/

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2006.05.08

TH関連展示情報

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5/6(土)より、TH No.26で告知しました、こやまけんいち氏の個展が始まっています。
渋谷の美蕾樹にて。16(火)まで。
(画像=左=は、今回のDMとポストカード)

また5/8(月)からは、銀座のヴァニラ画廊にてTH No.25でインタビュー等を掲載させていただきました作場知生氏の個展が始まります。20(土)まで。
(画像=右=は今回のDMより「hideout1」、mixed media)

さらに来週5/15(月)〜6/3(土)には、TH No.22で取り上げました松山賢氏の個展が、京橋・ギャラリー手にてありますね。

みなさまぜひ足を運んで実物を目にして下さい!
(という私もまだこれからなのですが)

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2006.05.06

人間の未来へvsディーコンvs駕籠真太郎

のんびり各停で水戸まで往復。
(ちなみに上野→水戸なら、土浦で一度下車した方が安い。土浦には渋い古本屋もあるし)
茨城県近代美術館の「山口勝弘展」は、まぁメディア・アートの評価は難しいですね、ってとこか。
どうしても、メディアやテクノロジーの発達とともに過去のものになっていってしまう部分があるし。
特にこの展覧会を見て感じたのは、真面目に取り組んでいるなぁ、ということで、それは皮肉ではなく、アートに真面目な未来を夢見ることが出来た時代だったのだろう。
たとえば「ヴィトリーヌ」のシリーズは、偏光板を絵の上に置き、絵にいわばモザイクをかけたような作品だが、やっぱモザイクの向こうにあるのは、デュシャンの遺作に使われた裸体なんかがいいと思ってしまうのだが……どうだろう。
だが、そこにあるのは抽象画なのだ。
裸体などという興味本位のもので、メディア・アートの発想を曇らせたくない、という意思をちょっと感じたりしたのだけれど、そのあたりが真面目だなぁと思わせたところか。

水戸芸術館の「人間の未来へ——ダークサイドからの逃走」展も真面目なのだが、ここで感じたのは、たとえば反核を訴えるとして、目の前にあるアート作品と、広島の平和記念資料館にある展示とかを較べたときにどっちがショッキングで訴えかけるものがあるかというと……ということだ。
アートは「美」術であるから対象を美しくソフィスティケートして表現するのが役割なんだろうけど、グロテスクなもの、本当の現実がなんかどっかに置き去りにされてしまっているような気がした(展示全体として)。
難しい問題だけどねぇ。でもオノ・ヨーコとかは面白かったけど。

東京都写真美術館の「デスティニー・ディーコン」展は、その点、美しさとグロテスクさが上手い具合にマッチングしている印象だった。
この人はオーストラリアの先住民の作家であり、その差別の告発を主題にしているものの、原色の美しさと人形というモチーフ、シニカルだけれども現実を見据えた表現に心揺さぶられる。
平和記念資料館とアートの違いって、こういうアプローチのしかたなんだろうなぁ、とも思う。
これはおすすめかも。

で、グロテスクさをソフィスティケートするんじゃなくて、ズバッとやちゃってたのが、ヴァニラ画廊の駕籠真太郎の「不衛生博覧会」で、絵もさることながら、猟奇的なグッズが数多く売られていた(よくまぁ、いろいろ思いつくものです……)。
だがバラバラ死体だろうとウンコだろうと現実にはそれがあるわけで、駕籠はそうしたものを批評したり皮肉ったりしようとしているわけではなかろうが、こういうものが隠蔽されてしまっている事実、おそらくこうしたグッズがハンズやロフトで売られることはないだろうことを、実は当然のこととして受け止めていてはいけないのではないか、と、思わないでもない。
もちろんお子様には見せられるものではなので売ってもらっちゃ困るのだが(笑)、ありきたりの美辞しか並べないテレビのコメンテーターの「清潔さ」も逆の意味で、どうよ、と思うよ。
人間にグロテスクさは付いて回るものなのだから。

茨城県近代美術館「山口勝弘展」5/14まで。
水戸芸術館「人間の未来へ——ダークサイドからの逃走」5/7まで。
東京都写真美術館「デスティニー・デーコン展」6/11まで。
ヴァニラ画廊「駕籠真太郎・不衛生博覧会」5/6まで(終了しました)。

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2006.05.03

台湾の女性日本画家

台湾の女性日本画家、陳進。
もちろんその背景には台湾の日本統治時代があるわけだが、画題としては、主に日常的な生活の情景を捉え、歴史的な変動の影響を直接的にはうかがうことはできない。
1934年に台湾女性として初めて日本の「帝展」に入選し、「帝展」や「文展」で認められていった陳進。
静謐で透明感がある上品な日本画。おそらく日本人画家なら、その延長線上で「帝展」「文展」らしい作品を生み出していくことになったのだろう。
しかし陳進は、戦後になり、そして晩年になるにつれて、透明感は失われて濁った感じの絵になり、線も伸びやかさが失われていく。
いわば、晩年に向かって稚拙に、素朴になっていく感じなのだ。
それを「台湾」の「日本画家」ゆえの葛藤だと捉えていいものかどうかはよくわからないけど、時代とともに洗練されていくのがふつうであるだけに、そのまったく逆の変遷が面白い。
5/14まで、渋谷区立松濤美術館。

なお、300円で入れる松濤美術館は、7/25〜8/27は「ポーランド写真の100年」、10/31〜12/10はベルメールなどの砂盃富男のコレクションを集めた展示があり、注目っすね。

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