台湾の女性日本画家
台湾の女性日本画家、陳進。
もちろんその背景には台湾の日本統治時代があるわけだが、画題としては、主に日常的な生活の情景を捉え、歴史的な変動の影響を直接的にはうかがうことはできない。
1934年に台湾女性として初めて日本の「帝展」に入選し、「帝展」や「文展」で認められていった陳進。
静謐で透明感がある上品な日本画。おそらく日本人画家なら、その延長線上で「帝展」「文展」らしい作品を生み出していくことになったのだろう。
しかし陳進は、戦後になり、そして晩年になるにつれて、透明感は失われて濁った感じの絵になり、線も伸びやかさが失われていく。
いわば、晩年に向かって稚拙に、素朴になっていく感じなのだ。
それを「台湾」の「日本画家」ゆえの葛藤だと捉えていいものかどうかはよくわからないけど、時代とともに洗練されていくのがふつうであるだけに、そのまったく逆の変遷が面白い。
5/14まで、渋谷区立松濤美術館。
なお、300円で入れる松濤美術館は、7/25〜8/27は「ポーランド写真の100年」、10/31〜12/10はベルメールなどの砂盃富男のコレクションを集めた展示があり、注目っすね。
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