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2006.07.10

「Double(ドゥーブル)——分身」

井桁裕子の球体関節人形は、実在する人間をモデルにするリアリティと人形的なデフォルメが交錯する妙味に特徴がある。
舞踏家・最上和子をモデルにした井桁の球体関節人形を相手に最上自身が踊るというこの企画、最上にとってその人形はいとおしい分身ではなく、戸惑いを与える“異物”だったようである。
その“異物”とどう対峙するか——それが今回の舞踏のひとつのテーマだった。
だが人形は舞踏の添え物になるのではなく、人形と最上の立場は同等というか、むしろ人形の方が主役になっていたところが面白い。
最上の方が人形の分身なのだ。
ときに最上は、二人羽織のようにして人形の背後に座り、人形の手足を動かして人形を踊らせる。
球体関節人形は関節が動くとは言っても、実際に動くところを見られるのは稀でそれ自体興味津々なところだったが、そうして人形に生命を幻視していく荘厳さは、見どころがあった。
しかも最後のシーンでは、井桁自身が黒子となって人形に光を与える——生命という光を授けるのである。

7/7・8、六本木のストライプハウスギャラリーにて。

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