« 大人ってなに? | トップページ | mixi異端系芸術情報募集中コミュ »

2006.11.30

実相寺昭雄のアンチ本物志向

実相寺昭雄氏が亡くなった。
寺倉正太郎氏のセッティングで、実相寺氏と落語家の柳家喬太郎氏との対談を企画してから
まだ2年も経っていない(→No.23昭和幻影絵巻

その号でマンガ家の加藤礼次朗氏は、実相寺氏は見世物小屋のせこさみたいなものが好きだ、という鋭い指摘をおこなっていたが、それはしばしば見て見ぬ振りをしなければならない虚構世界のルールを踏み越え、時にはあえてせこさを前面に押し出し、見る者を驚嘆させた。

実相寺氏はおそらく、本物だろうと偽物だろうと、そんなことは問題ではなかった。
どうせすべてが嘘っぱちなんだから、別にこだわりにこだわって本物を作らなくてもいいんじゃないの?とか思っていたのではなかろうか。

だがそうしたことの結果から、おそらく意図したわけでもないのに、社会への鋭い批判性をも導き出してしまっていたところが、実相寺氏の才能だろう。
カルトになりたかったわけではないが、その才能が見る者から熱狂的な支持を集める結果になる。

だが、虚飾を見抜いたアンチ本物志向は、逆に言えば、本物とは何かを知っていたからこそ堂々とおこなえるワザだろう。
実相寺氏は昔の風景を愛し続けた。

ご冥福をお祈りいたします。

|

« 大人ってなに? | トップページ | mixi異端系芸術情報募集中コミュ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 実相寺昭雄のアンチ本物志向:

« 大人ってなに? | トップページ | mixi異端系芸術情報募集中コミュ »