2006.11.30

実相寺昭雄のアンチ本物志向

実相寺昭雄氏が亡くなった。
寺倉正太郎氏のセッティングで、実相寺氏と落語家の柳家喬太郎氏との対談を企画してから
まだ2年も経っていない(→No.23昭和幻影絵巻

その号でマンガ家の加藤礼次朗氏は、実相寺氏は見世物小屋のせこさみたいなものが好きだ、という鋭い指摘をおこなっていたが、それはしばしば見て見ぬ振りをしなければならない虚構世界のルールを踏み越え、時にはあえてせこさを前面に押し出し、見る者を驚嘆させた。

実相寺氏はおそらく、本物だろうと偽物だろうと、そんなことは問題ではなかった。
どうせすべてが嘘っぱちなんだから、別にこだわりにこだわって本物を作らなくてもいいんじゃないの?とか思っていたのではなかろうか。

だがそうしたことの結果から、おそらく意図したわけでもないのに、社会への鋭い批判性をも導き出してしまっていたところが、実相寺氏の才能だろう。
カルトになりたかったわけではないが、その才能が見る者から熱狂的な支持を集める結果になる。

だが、虚飾を見抜いたアンチ本物志向は、逆に言えば、本物とは何かを知っていたからこそ堂々とおこなえるワザだろう。
実相寺氏は昔の風景を愛し続けた。

ご冥福をお祈りいたします。

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2006.10.27

「エコール」はエロい?

いよいよ「エコール」が11/4より渋谷・シネマライズで公開されますね。
早く見に行かないと上映中止になってしまうかも、という妄想者もいるようだが(笑)
そこにエロスを感じ取るか、それを見ぬふりして純真な少女の物語として捉えるか、
人の趣味趣向が試される映画かもしれません。
幼児児童の半裸体があっけらかんと見れるわけで、
その手のものにムラムラッとくる人にはたまらんかもしれない。
しかしそこにムラムラッとこなかったとしても
いけないものを見てしまったのかもしれない〜とだれもが思うはずで
その感情を押し殺してしまうかどうか、
そこが試される部分である。

たぶんおそらく、監督のアザリロヴィックはそれを明確に意識している。
「いけないもの」なんてないじゃん、と思ってしまった人は
アザリロヴィックの世界とはまったく無縁だと言っていいだろう。
どっかの雑誌に、下着を着ての水泳シーンは、どうして全裸にならないのか、
規制しているのか、というようなことが書かれていたが
下着だからエロいんじゃないですかっ。
イケナイものが透けて見えてしまいそうで見えないとこがいいわけで、
……あ、いや、別に熱論することじゃないですけど。

その他もろもろは、「分身パラダイス」の記事をぜひご覧くだされ!
陽月の球体関節人形の記事もあります。
(「エコール」がエロいかどうかというのは、球体関節人形がエロいかどうかという命題と実は同じなのかもしれないですね!)

ちなみに「分身パラダイス」には大野一雄の水浴シーンの写真も掲載されているのだが
それもしっとり色っぽいあるよ。

公式サイト
エコール@映画生活
エコール@excite

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2006.08.29

エコール

検索サイトからの訪問者でダントツに多い検索ワードが「鏡堂みやび」というのは、
い、いったいどういうことなんでしょう……?(笑

さて、10月公開で「エコール」という映画があるのだが、
これはあの「mimi」を撮った監督で、もう幼女趣味丸出しの美しくもインビな映画である。
ああもうどうしてくれよう。
で、その登場人物達をイメージした球体関節人形が作られて、
人形展がおこなわれて人形写真集も出るという(人形:陽月、写真:吉田良)。
で、その人形がとってもかわゆいのだ!
……うーとりあえずはこのへんでやめておこう。
TH次号をお楽しみに。ふふ。

「エコール」公式HP
人形展:9/15(金)〜24(日)アニエスベー青山店にて(入場無料)
人形写真集:10月上旬、飛鳥新社より発売

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2006.02.06

朝から夜中まで@フィルムセンター

京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは、「ドイツ・オーストリア映画名作選」を上映中(3/26まで)。
1/31〜2/5は、無声映画を伴奏付で上映した。
「巨人ゴーレム」と「朝から夜中まで」を見たが、
「巨人ゴーレム」は、まぁ、まだ普通といった感じ(ゴーレムがかわいいんだな、これが。買い物かご腕からぶら下げて買い物にいっちゃうのだ)。
表現主義映画の傑作「朝から夜中まで」は、さすが評判にたがわず、建物からトビラから窓から階段から何から何までひしゃげて曲がっていた。
ちょっと風邪ひいて熱っぽかったのだが、もしかしたらスクリーン以上に歪んで頭の中に投影されていたかも……。
あれだけ歪んでいても、トビラはちゃんと開閉するしなぁ。リッパです。
ストーリーはたいしたことない。
女に目が眩んで大金を横領した銀行の出納係が主人公なのだが、単純なコメディ以外のなにものでもなく、
その点、同じ表現主義映画「カリガリ博士」のような読みの深さは要求されない。
でもこのセットはすごい。セットだけで笑えるのも珍しい。
テンポもいいしね。
こういうの好きだなぁ。

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2006.02.02

中嶋莞爾監督がサンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞

「廃墟憂愁」にてロングインタビューを掲載した
中嶋莞爾監督の次作『クローン人間は故郷をめざす』の脚本が
サンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞しました!!
この賞はロバート・レッドフォードが主宰するサンダンス・インスティテュートと
NHKが共同で実施しているもので、
脚本を評価し、次代を担う新しい才能に制作の支援をおこなうもの。
審査委員長であるヴィム・ヴェンダースの強力なプッシュがあって
中嶋莞爾監督がみごと射止めました。

これまで圧倒的な映像美で作品を作ってきた中嶋監督が
脚本で評価を受けたのは特筆もの。
次作がどのような作品になるか、非常に楽しみなところです。

参考:[オリコンニュース]

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2006.01.06

中嶋莞爾「はがね」「箱」上映+トーク(柳下毅一郎・作場知生)


TH No.25「廃墟憂愁」で取り上げた中嶋莞爾監督の作品「はがね」「箱-The BOX-」上映の日がいよいよ迫ってまいりました。
(@高田馬場・タナトス6)
ビデオ化・DVD化もされておらず、めったに見ることのできない作品ですので、
これはいい機会になるのではないかと思っております。
タルコフスキーやアンゲロプロスなども彷彿とさせる映像美学に酔いしれて下さい。

上映と同時にトークもおこないます。
1/8は、特殊翻訳家・映画評論家の柳下毅一郎氏、
1/15は、こちらも「廃墟憂愁」でインタビューさせていただきました作場知生氏が
ゲストとして登場します。

上映はこの2日間、「はがね」「箱-The BOX-」とも各1回限りですので、お見逃しなく!
今後注目の監督ですので(理由は後日!)ぜひ要チェックです!!

予約はまだ大丈夫な模様。
詳細は、[http://thanatos6.jugem.jp/?cid=8]まで!!
[中嶋莞爾HPはこちら]

■作場知生展も好評開催中です!
 明日1/7と1/15は作家も来場します。
 絵やコラージュ作品を見て、実際にゲーム「ガラージュ」を触って、
 作場さんともお話しして、楽しんで下さい。
 「ガラージュ」もTH No.25「廃墟憂愁」で取り上げましたが、
 そんじょそこらのゲームとは違うディープさ、陶酔感に浸れます。
 もう私家版がネット通販されているだけですが、熱狂的ファンはいまだ多し。
 ゲームそのものだけでなく、パッケージの凝り方もイカしてます。
 会場でもちろん、お求めいただけますので、ぜひどうぞ!
 [展示詳細]
 [作場知生HPはこちら][ガラージュ私家版HP][mixiガラージュ コミュ]
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2006.01.01

正月から「人形霊」

B000BQ5L34あけましておめでとうございます。
といっても新年だからなにをどうこうするわけではなく。
近所の寺の除夜の鐘を聞きながら、韓国映画「人形霊」のビデオを見てました。

まぁ、人形が怨念を持って人を襲う、というよくある話だが、
この人形が球体関節人形なのである。
古い日本人形とかならともかく、ボークスのドルフィーみたいなのがズラリと並んでいるのである。
コワイ……ってゆーよりも、カワイイぞ、これは。
ボークスは韓国でもイベントとかしているので、その手の文化が伝わっているのは確かだろうし
最初登場する人形は和服なので、明らかに日本文化を引用して作られている。
でもね、球体関節人形といったら、日本の作家さんって、もっとグロくてフェチなものを作っているじゃない。
なのになぜことごとくドルフィー風?
ホラーとしてそのあたりから間違っているというか、人形の側に感情移入できてしまう人形ホラーというのも珍しい。
日本じゃできない——いや日本でもそういう発想出てきてほしいというか、出てきてしかるべきだと思うが……うーん、こういうのって日本のマスのメディアにはまだまだ乗らない。
そういうのを利用するうまさは、やはり韓国の方が上ということか。

脚本はたいしたことない。
もっとどうにかしろよと思うが、それだけにこの映画が持つ人形というアイテムへの偏愛が強く感じられたりする。
なにしろ製作費の5分の1は人形に費やされたらしいのである。

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2005.12.01

「沖の未明」

小川未明の童話「港に着いた黒んぼ」を元にした映画作品。
監督は鈴木志帆。主演は野和田恵里花、坂本弘道。

ストーリーらしきものはいちおうある。
ストリートパフォーマンスをしている姉と盲目の弟。
ふたりは互いの存在なくしては考えられなかったが、
ある日、金持ちからの誘いがあって、姉はその元へ出かけてしまう……。

しかし、ストーリーに感動する映画ではないことは確かだろう。
見どころはやはり、野和田恵里花のダンスと、坂本弘道のチェロ演奏にある。
その、熱情的な踊りと演奏。
そこには、みすぼらしさも貧乏のビの字も感じられず、
それは、ふたりのパフォーマンスをストーリー的な整合性の枠にはめず、
できるだけありのままに映し出すことを選択したためにちがいない。

観る者が体感するのは、非常にハッピーなコラボレーションだ。
ストーリー的には暗めのオチなのに、エンドロールの間も鳴り響くチェロの音に
踊り出したくなってしまうのは、コラボの幸福感に包み込まれるからだろう。

あえて言うなら、変に凝ってカット割りするよりも、据えたカメラで、
もっとじっくり野和田のダンスを見せる部分があってもよかったのではないかと、ちょっと思う。
だけど、うん、ハッピーになれるよ。

観ることのできる機会はなかなかないが、
タナトス6のコウソクEXHIBITIONでレイトショウ上映される。
展覧会の入場料500円のみでOKなので、ぜひお見逃しなく!
レンタルビデオの値段に較べても、500円はかなりおトクです!!
(もちろん、この映画をレンタルで観ることはできません)

12/6(火)〜9(金)連日上映は20:00〜
詳しくは、[こちら]とか[こちら]

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2005.11.26

「世界」ジャ・ジャンクー

ジャ・ジャンクー監督のは実はまだ見たことがなく、
ビデオで「青の稲妻」とか見てから……と思っていたのだが、なかなか時間がなく、
水曜1000円均一しかも祝日という誘惑に負けて、とりあえず「世界」を見た。

世界各地の著名な建築物のミニチュアを集めたテーマパークが舞台、ということで
久々に見たい映画が出てきた、と思っていたのだが、別にテーマパークが好きなわけじゃない。
だいたいディズニーランド行ったことないし。
ミニチュアのピラミッドとか見て何が楽しいのだろう、というのが正直なところなのだが
そうしたイビツな世界で働く少年少女たちの群像ということで興味を持ったわけだ。

メインで使われているスチルは派手な踊り子の衣装を付けた少女の姿だが、
その少女がそうした格好で派手に舞い踊るのは冒頭の部分くらいで、
テーマパークの華やかな部分は、後半になるとほとんど姿を消す。
どっかの工場での話にしてもおかしくはない。

派手な姿をしていた少女が、衣装を脱ぎ化粧を落とすと、本当に地味な華のない顔になるのも
テーマパークの華やかさにあえて背を向けるための演出なのだろう。
服装も実に地味目なのが選ばれている。

テーマパークという限られた舞台での人間関係オンリーで、しかもそこにいるだけで世界一周ができてしまう
というのは、「世界」に出ていきたかったのに「世界」というテーマパークに閉じ込められている、
という意味では皮肉がきいているが、だがそれでも、そんなに閉塞感があるわけではない。
みながそこから逃げだそうともがいているわけではない。

むしろ、そこから出ていくことを知らないこと、出ていく気にさせないことが
テーマパークという構造の特殊性なのかもしれないし、
ミニチュアのピラミッドを前にして、
本当のピラミッドと対峙したような気分になってしまえる現実との距離感が
監督には、若者を描く上でいい塩梅だったのだろう。携帯メールの描写も含めて。

ジャ・ジャンクーはそれを肯定も否定もせずに静謐に描き出す。
冒頭の派手なシーンが続けばもっと楽しい映画になったろうに、とは思うけど、
そこに背を向けたところが私はよいと思うよ。

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2005.11.21

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

青山真治監督。来春公開予定。カンヌ出品作。
人を自殺に追いやるという正体不明のウィルス。
それを音楽で解毒できる(?)という突拍子もない設定だが、
う〜〜ん、困った映画である。
音楽といってもノイジーなエレキで、いろんな音をサンプリングしてホースをグルグル回しちゃったりするんだけど
う〜〜ん、どうなんだろう、ウィリアム・バロウズばりの幻惑世界をちょいと期待もしていたんだが
設定が突拍子もないわりには、画面とかはふつうな感じ。
ウィルスに対する危機感もあまり伝わってこないし。
そもそも、ウィルス、音楽という、目に見えないもの——つまり映画に描きづらいものをあえて中心に据えているわけで、そこらへんムリもあるのかぁ、という印象……。

だが、だけど、それで終わってしまわないところが、この映画の本当の見どころだろうか。
病気が治りました、しゃんしゃん、で終わると思いきや、それまでの凡庸さ(?)が別の所へすぅっと突き抜けていくような、観客をそういうところに置いてけぼりにして終わりますか、という感じで、結構いい意味で呆然とした。
さすが一味は違う。

浅野忠信主演、宮崎あおい(目隠しされた姿がよいですねぇ)、中原昌也、筒井康隆他。
[公式サイト]

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